LDL(悪玉)コレステロールが高いとどうなるの?
LDLコレステロールが基準値以上になると、血液中のLDLコレステロールが過剰になり、次第に血管壁に付着して「動脈硬化」を発症します。
動脈硬化は脳梗塞や狭心症、心筋梗塞などの疾患の発症に繋がり、命を落としてしまう可能性もあるので注意が必要です。
コレステロールが高いと指摘されたまま放っておくと、急に重大な疾患の症状を発症する場合もあります。
LDLコレステロール値が高いだけでは症状が現れないため、治療は不要と思い込んでしまう方が多いですが、高いままだと体に少しずつダメージが溜まっていくため、速やかに対応しなければいけません。
LDL(悪玉)コレステロールが高くなる原因
体にあるコレステロール量は、体内にあるコレステロール量は、体の外へ排出される量、体内で代謝や脂肪の吸収で使われる量、食事から吸収される量、肝臓での生産量がバランスを保ち安定しています。
肝臓での産生量がうまくバランスをとって安定しています。
コレステロールから、ストレスホルモンである「副腎皮質ホルモン」や「女性ホルモン」が生成されます。
女性は閉経すると女性ホルモンが産生されないため、血液中に余分なコレステロールが溜まってしまいます。
また、LDLコレステロール値の安定には、代謝をコントロールする役割を持つ甲状腺ホルモンが深く関わっています。そのため、加齢やストレスなどで代謝が衰えてしまうと、コレステロールの値が増加してしまいます。特に次のようなことがLDLコレステロール値を増加させます。
コレステロールが豊富に含まれるものを食べる
コレステロールは、身体の機能を保つための必須の栄養素である”脂質”ではありますが、摂取し過ぎてしまうのは逆に身体に害を与えてしまいます。
高LDLコレステロール血症の方は、コレステロールを含むものの摂取を控えたとしても必ずコレステロール値が改善するわけでなく個人差があります。コレステロール以外にも飽和脂肪酸の摂取を控えるように心がけましょう。
悪質な脂質の摂取量が多い
中性脂肪もコレステロールと関わっています。血液中のコレステロールの20~30%は食事摂取によって、70~80%はタンパク質や糖質、脂質から肝臓が産生しています。
現代の食事内容をみると、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸を多く含む食品の食べすぎにより、コレステロール値の増加に繋がっている可能性が高いです。
工業的に作られたトランス脂肪酸を多く含む食品や、脂質が豊富な乳製品、ラード、鶏肉の皮、肉の脂身などの飽和脂肪酸の摂取はできる限り避けましょう。
加工油脂やマーガリン、スナック菓子、ケーキ、菓子パンなどにトランス脂肪酸が、バターやラード、赤身肉などに飽和脂肪酸が多く含まれているため注意しましょう。
肥満で増加する
中性脂肪は、エネルギーに変換できなかった脂肪が肝臓や膵臓、腎臓などの内臓の周りに蓄積されたもので、一般的には内臓脂肪ともいわれています。
肥満になると中性脂肪が増加してLDLコレステロールが多く産生されてしまうため、適切な体重にまで減量することが重要です。
運動不足
運動を十分に行わなければ、肥満によってLDLコレステロール値が高くなると考えられています。少なくとも1日あたり30分程度の簡単な有酸素運動(ジョギング、ウォーキング、エクササイズなど)を、週に3回以上行っていることが推奨されています。この値を下回ってしまうと一般的には運動不足といわれてしまいます。
ホルモンバランスが崩れる
生活スタイルが崩れたりストレスが溜まったりすると、LDLコレステロール値を安定させる数多くのホルモンバランスが崩れてしまいLDLコレステロール値が増加します。
体質や遺伝
コレステロールの使用量や産生量、吸収量は一人ひとり異なるため、コレステロールをわずかに摂取しただけでもコレステロール値がかなり高くなる場合もあります。
個々人の体質だけでなく遺伝も大きく関わっており、両親どちらかのコレステロール値が高値である場合は、その子どももコレステロール値が高くなる傾向があります。そのため定期的な健康診断を通じてコレステロール値の変動に気をつけましょう。
LDL(悪玉)コレステロールが高い場合に引き起こす病気
高LDLコレステロール血症では、細胞へ運ばれなかったコレステロールが血液中に過剰に残存している状態です。そしてコレステロールが血管壁に付着して動脈硬化が進んでいきます。次第に血管が閉塞する危険性が高まり、脳卒中や心筋梗塞に繋がります。
また、高LDLコレステロール血症が起きていても大半の場合目立った症状は出ないため、定期的に血液検査や健康診断を受けることが大切です。
LDL(悪玉)コレステロールを下げる食事・運動
LDLコレステロール値が基準以上なのに放っておくと動脈硬化が進んで重篤な疾患に繋がる場合があります。このような状態にならないように予防的にLDLコレステロール値を減少させるように心がけましょう。
大豆や魚を意識して摂る
大豆や魚を食べて動物性の肉を控えればLDLコレステロール値を改善するのに役立ちます。EPAやDHAなどの不飽和脂肪酸が魚には豊富なため、脂肪ではありつつもLDLコレステロールを増加させなく、中性脂肪も改善させます。食物繊維が多い大豆もLDLコレステロールを改善します。
コレステロールが豊富なものを控える
食事内容と肝臓で産生されるコレステロールによってLDLコレステロール値は増減します。コレステロールが豊富な食生活を送っているとLDLコレステロール値は基準値以上になりやすいため気をつけましょう。
適度な運動を取り入れる
適度に運動することがLDLコレステロールを改善するためには必要です。厚生労働省が推奨している運動は、毎日30分以上、中等度以上のややきついと思うくらいの負荷の胃有酸素運動です。また、まとまった時間が取りづらい方もいらっしゃるかと思いますが、朝15分、夜15分と分けて運動することも推奨されています。隙間時間を見つけて適度な運動をおすすめいたします。
文責 医療法人ヘルシア 長良内科クリニック 院長 原瀬 一郎