高尿酸血症(痛風)とは
高尿酸血症は尿酸値が7.0 mg/dL以上となる疾患です。
尿酸はプリン体が分解されてできる老廃物で、主に尿と一緒に体外へ出ていきます。尿酸がうまく出ていかずに体内に貯留すると、血液中の尿酸濃度が上がってしまいます。
プリン体は食べ物に含まれる他、人の体内でも生成されています。
高尿酸血症の原因
痛風や痛風を引き起こす高尿酸血症の発症には、遺伝とその他の原因が関係し合っていると報告されています。
- 尿酸が排泄されにくい、尿酸を作りすぎてしまうなどの遺伝的要因
- プリン体を過剰摂取している
- アルコールを過剰摂取している
- 肥満
ビール中のプリン体は体内で分解されて尿酸となるため、お酒の中でも特にビールを控えることが重要です。食事の中では、干物やレバーなどがプリン体を多く含むことで知られています。
高尿酸血症による合併症
痛風関節炎
痛風発作とも呼ばれており、高尿酸血症に多く見られる症状です。
関節が腫れ、歩行が困難になるほどの激痛を引き起こします。
痛風は慢性化すると、痛風結節と呼ばれる関節のしこりが生じます。人によっては、痛風の治療により結節が縮小する場合や、痛みが生じない場合もあります。
慢性腎臓病
慢性腎臓病は、腎臓の働きが悪化する疾患です。初期は自覚症状がなく、悪化すると夜尿症や息切れ、倦怠感、貧血、むくみなどを引き起こします。
腎不全
腎臓の働きが30%以下に下がった状態を腎不全と呼びます。重症化すると、人工透析を受けなければいけません。
尿路結石
尿路結石は、背中やわき腹あたりに強烈な痛みが生じます。激しく痛むため、もがき苦しむ場合や立ち上がれなくなる場合もあります。
高尿酸血病と生活習慣病
高尿酸血症は、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧といった生活習慣病を併発しやすいと言われています。
高尿酸血症の症状は?痛風になると激痛を伴う
高尿酸血症になっても症状が出ることはほとんどありません。ただし、痛風になると手や足、肘、肩、腰、膝など体中の関節に強烈な痛みが起こり、赤く腫れます。
痛風発症の初期の頃は一時的な痛みですが、痛風が再発するごとに長時間痛むようになります。
高尿酸血症の検査
高尿酸血症は痛風発作以外の症状が見られないため、血液検査と尿検査を行って判断します。痛風発作の症状が見られる期間中は正しく調べられないため、症状が落ち着いている時に実施します。
血液検査では血液中の尿酸濃度を測定し、尿酸値が7.0mg/dLを超える場合は高尿酸血症となります。尿検査では尿酸の排泄量が少なくないか、尿酸の産生が増えていないかを確認します。
高尿酸血症は治るの?治療方法について
食事療法
日常生活では、肉類や魚介類の食べ過ぎに注意が必要です。
お酒や食品に含まれるプリン体の総摂取量が400mgを超えないようにしましょう。また、脱水症状を起こさないよう、積極的にお茶や水を飲むことが大切です。
その他、過度な糖質制限により魚や肉を食べることで尿酸値の上昇を招いている場合も多いです。糖質制限ダイエットは無理にせず、脂質、タンパク質、炭水化物、野菜をバランスよく摂るようにしましょう。
運動療法
適度な運動は肥満の予防や生活習慣の改善に繋がりますが、高尿酸血症の方は無酸素運動などの過度な運動を短時間で行うと、逆に尿酸値を上げてしまうので控えましょう。
サイクリング、ジョギング、ウォーキングなどの有酸素運動を推奨します。会話ができる程度の運動が目安です。
薬物療法
薬物療法は、1回でも痛風発作の経験がある方や目立った症状がなくても尿酸値が9mg/dL以上の方に行います。
また、尿酸値が8mg/dL程度でも、メタボリックシンドロームや糖尿病、狭心症、尿路結石、腎障害、高血圧などが併発している方は痛風発作を非常に発症しやすいため、薬物療法を考慮します。
痛風発作を発症した場合は、主に尿酸が作られるのを防ぐお薬を用いて尿酸値を6mg/dL以下に保つように調整します。尿酸の排出を促すお薬を用いる場合は、尿路結石のリスクに注意して慎重に判断します。
高尿酸血症は非常に治癒しにくい疾患です。血清尿酸値は薬物療法を行うことで正常値になりますが、お薬の服用を中止すれば2週間程度で尿酸値は元通りになり、長期間放置すれば尿酸塩沈着による合併症が起こる可能性があります。そのため、辛抱強く服用を続けるようにしましょう。
痛風発作時は、尿酸値を抑えるための治療は行いません。はじめに痛風発作時の治療を行って発作を改善させた後、尿酸値を抑える治療法を選択します。
発作が起きている時は強烈な痛みがあるため、消炎鎮痛剤であるNSAIDsを用いてひどい痛みを穏やかにします。発作が起きている時は可能な限り関節の炎症を抑えることが重要です。