- 心配のない頭痛と危険な頭痛
- 心配のない頭痛(一時的頭痛)
- 危険な頭痛(二次性頭痛)
- 頭痛はストレスで起こることも?
- 頭痛の治し方
- ふわふわ・グルグル回るめまい
- 吐き気を伴うめまいはストレスが関係している?
- 危険なめまいに要注意
- めまいは何科を受診すればいい?
心配のない頭痛と危険な頭痛
頭痛はストレスや疲れ、風邪などによって誰にでも生じるよくある疾患です。女性の場合は月経などによってホルモンのバランスが崩れることで、定期的に頭痛が生じる場合もあります。
頭痛の多くは命に危険がないため放っておきがちですが、中には危ない頭痛もあります。自身の頭痛がどちらなのかを確認することはとても大切です。頭痛時に嘔吐や吐き気を催したり、頭が激しく痛んだり、段々痛みが激しくなったりする場合は、脳に何らかの疾患が隠れている可能性があります。いつもの頭痛と違った症状が見られる場合は命が危険に晒されている可能性もあるため、速やかに医師に相談しましょう。
体を動かすのがつらくなるほど強い頭痛が生じた場合は、まず初めに「#7119 (救急相談)」に電話して救急車が必要か確認しましょう。
心配のない頭痛(一時的頭痛)
病気が原因ではない一時的な頭痛は、主に群発頭痛、緊張方頭痛、片頭痛(偏頭痛)などが挙げられます。治療する方法は頭痛の種類で変わります。命に関わる疾患ではないため、心配する必要はありません。
片頭痛(偏頭痛)
片頭痛(偏頭痛)は、一般的に頭の右側または左側のどちらかにズキンズキンと痛みが生じます。人によっては吐き気を催す場合もあります。
その他、匂いを感じやすくなる、音過敏や光過敏で音や光に強く反応して頭痛がひどくなる、体を動かすのがつらくなるといった症状が見られます。
定期的に発作が生じ、家事や仕事ができなくなるなど日常や社会生活に支障が出ることもあります。
偏頭痛の前兆に、言葉がスムーズに出ない、手足に力が入らない、しびれを感じる、目がチカチカしたりギザギザしたものが見えたりする閃輝暗点が生じるといった症状が現れる場合があります。
このような前兆が見られる偏頭痛の場合は、脳卒中の危険性もあると報告されているため、たとえ一次性の頭痛であっても要注意です。
緊張型頭痛
緊張型頭痛とは、肩や背中などの筋肉に生じるこりや張りから起こる頭痛です。
頭を締め付けるような重い痛みが生じます。
ストレスによって引き起こされやすいため、運転やパソコン作業を長時間行う方に生じることが多い頭痛です。
群発頭痛
群発頭痛は男性に多く見られる頭痛で、左右どちらか片方の目の奥が激しく痛んで苦しみます。一定期間、毎日のように決まった時間に起こることが多く、眠れないほどの激痛を伴う場合もあります。
一時性頭痛はほとんどの場合、お薬を使用することで症状の調節ができます。ただし、群発頭痛や偏頭痛は痛みが強い場合も多く、長期にわたって症状が繰り返されるため、必ず完治するわけではありません。激しい痛みの頭痛が起こっても、これまでにも見られたような頭痛の場合は、怖がりすぎる必要はありません。度々生じているような痛みは、心配不要な頭痛と言えます。
危険な頭痛(二次性頭痛)
くも膜下出血
くも膜下出血は、脳を包んでいるくもの巣状の膜の下に太い脳血管などが破れて血が溜まった状態を指します。その原因のおよそ9割が、脳動脈瘤が裂けることによって起こると言われています。
くも膜下出血が起こると、急に頭に激痛が生じ、意識に異常が現れたり嘔吐や吐き気を催したりします。対処が遅れると命の危険があり、命が助かっても重い後遺症が残ってしまうケースもあるため、迅速に正しい対応が必要な疾患です。
破裂する前に脳動脈瘤を見つけられれば適切な治療を行えるため、くも膜下出血の予防ができます。脳動脈瘤は症状を自覚することがなく、自分では見つけにくい疾患です。発症しやすい年齢になったら、頭部MRI検査の受診をしましょう。中でもMR脳血管撮影(MRA)を受けて頂くことで、異常を早い段階で見つけやすくなり、治療も早期に行えるためお勧めです。
脳出血
脳出血は、脳にある細かい血管から出血している状態を指します。高コレステロール血症や高血圧など動脈硬化の進行を促す生活習慣病は、脳出血を起こす危険性を高めます。
症状は、急に生じた頭痛が段々と痛みを増して、めまい、吐き気、手足の動かしにくさや痺れを感じ、言語の異常などが現れます。中には頭痛を生じない方もいます。これらの症状が見られる場合は、速やかに医師にご相談ください。
その他、出血の部位によって症状は変動し、発症のきっかけが性行為や排便、入浴、感情のたかぶりなど、明確なケースもあります。
脳動脈解離
近年、脳動脈の解離は脳血管の攣縮が原因の頭痛とともに増加の傾向にあると言われています。後頭部に急激な強い痛みを起こす疾患で、主に脳の後ろ側へ向かう血管(椎骨動脈)に生じます。症状だけでは後頭神経痛や片頭痛などと見分けるのは難しい疾患です。MRI検査などを行って判明するケースもあります。
ほとんどの場合は大事に至ることはなく数ヶ月後には治りますが、中には血管の狭窄や動脈瘤が生じて脳梗塞やくも膜下出血を引き起こす場合もあります。
脳腫瘍
脳に発生した腫瘍を脳腫瘍と呼び、腫瘍が成長するとともに頭痛は強くなります。その他、会話をしても何を言われているのか分からない、言葉が出ない、片方の目が見えづらい、手足が麻痺するなど、腫瘍が発生した部位によって様々な症状が見られます。脳腫瘍の治療は症状を自覚してからでは遅い場合があります。早い段階で見つけて治療を行うために、頭部MRI検査の受診がお勧めです。脳腫瘍の発生は遺伝子の異常が原因と言われています。家族に発症者がいる場合は、脳腫瘍を発症する可能性はあがります。高脂肪・高タンパクの食事や、ストレス、タバコなども発症の原因となります。
頭痛はストレスで起こることも?
ストレスは適切に付き合うことで体にメリットがあることが知られています。ただし、過剰なストレスは痛みに関する脳の働きを阻害したり、筋肉を余分に緊張させたりし、頭痛が生じる原因となります。
このように肉体的・精神的にストレスを受け続けて起こる頭痛を緊張型頭痛と呼びます。
また、片頭痛もストレスによって生じる場合があります。原因は明確になっていませんが、ストレスによって脳内ホルモンのセロトニンが一時的に増え、血管の収縮と拡張を促進させるため片頭痛が起こると言われています。反対にストレスが発散されることでも血管の拡張が起き、片頭痛が生じる場合もあります。頭痛とストレスは深く関係していますが、症状の起きる要因は数多くあります。
頭痛の治し方
片頭痛
片頭痛を解消する治療方法はまだ見つかっていませんが、医療の進歩により、片頭痛の痛みを生じづらくする方法や、痛みを抑える方法はあります。
お薬を正しく使い、普段の生活に差し支えないように調整します。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、体や心をリラックスさせることが痛みの軽減に繋がります。適度に運動することや、入浴、マッサージなどが効果的で、緊張型頭痛の予防にもなります。
鎮痛剤の服用も痛みの軽減に繋がりますが、原因を解消できる可能性や副作用などを鑑みて、お薬は応急処置としての使用をお勧めします。
群発頭痛
群発頭痛は、発作が始まると毎日のように頭痛に襲われるため、発作を軽くしたり予防したりする治療と、発作時の症状を緩和する治療を行います。
ふわふわ・グルグル回るめまい
頭痛と同じく普段から経験することの多いめまいですが、実はめまいの種類は数多くあります。ゆらゆら揺れる感覚やふわふわした感覚、ぐるぐると周りが回っているような感覚など多岐に渡ります。
まっすぐ歩けない・浮いているように感じる動揺性めまい
動揺性めまいは、体がふらふらしてまっすぐに歩けない、ふわふわと浮いているように感じるめまいです。症状は少しずつ現れる場合と、前触れなしに急に現れる場合があります。
動揺性めまいを起こす原因として、メニエール病や良性発作性頭位めまい症、脊髄小脳変性症、脳腫瘍、脳梗塞などの疾患が挙げられます。
周囲が回転しているように感じる回転性めまい
回転性めまいは、周囲や自分が回転しているように感じるめまいです。症状は多くの場合急に現れ、めまいの他に耳が詰まって感じる耳閉感や耳鳴り、吐き気などを併発するケースもあります。
回転性めまいの原因の多くは、前庭神経炎、メニエール病、良性発作性頭位めまい症といった耳の疾患です。
立ち上がった時に視界が暗くなり、倒れそうになる立ちくらみ
立ちくらみは主に子どもや低血圧の方に生じやすいめまいです。立ち上がった時に視界が暗くなり、頭がふらっとして倒れそうになります。
立ちくらみを起こす原因には、低血圧、貧血、不整脈、起立性調節障害などがあります。
動いていないのに揺れて見える動揺視
動揺視は、動いていないものが揺れているように見えるめまいです。
動揺視が生じる原因に、心臓疾患や脳腫瘍(眼窩腫瘍)などがあります。
他にも、動揺視の症状を引き起こす疾患には眼精疲労があります。
吐き気を伴うめまいはストレスが関係している?
めまいが生じた時に併せて吐き気が見られる場合があり、これは主にストレスによって引き起こされると考えられます。ストレスは誰もが多少なりとも感じていますが、ストレスが過剰になると内耳機能の異常や消化器系の機能の低下、自律神経の乱れなどが起こり、吐き気やめまいが生じます。
その他の要因として、起立性調節障害が挙げられます。長い時間立っている場合や、寝た状態から起き上がったときに、吐き気やめまいが生じます。学童期や思春期などの若者や、低血圧の方に多い症状です。
危険なめまいに要注意
脳血管障害
脳血管障害は、回転性めまいが長く続き、前触れなく発症します。併せて吐き気や嘔吐、頭痛が見られる場合は注意が必要です。
脳血管障害を引き起こす可能性が高い要因として、タバコや脂質異常症、糖尿病、高血圧などが挙げられます。
不整脈
不整脈は、脈拍が乱れた状態です。
1分間に脈が100回以上の場合を頻脈、50回以下の場合を徐脈と呼び、40回以下になると失神やめまい、息切れを起こす場合があります。その他、脈が乱れたり1分間に120回以上になったりした場合にも、失神やめまい、胸痛、息切れ、動悸を起こす場合があります。
めまいの原因が不整脈の可能性がある場合は、心電図検査や24時間ホルター心電図で検査を行います。
低血糖
低血糖は、糖尿病治療のインスリンや経口糖尿病薬の使用量が多すぎる場合に起こります。症状が出る値は人それぞれですが、主に血糖値が70mg/dl以下になると現れます。
低血糖が軽度の場合、不安感や空腹感、発汗、眠気、吐き気、動悸、頭痛などの症状が見られます。
重度の低血糖の場合、疲労感やけいれん、集中力の低下、めまいなどが生じ、重症化すると昏睡状態や意識障害に至ります。
めまいは何科を受診すればいい?
めまいは全てが受診しなければならないものではありませんが、中には命に危険が及ぶ場合もあるため要注意な症状です。治療するのに適切な診療科はめまいが起こる原因によって異なります。めまい以外の症状で受診する診療科を判断すると良いです。
耳鳴りや難聴など、耳の異常に関する症状がある場合は、耳鼻科にご相談ください。
呂律が回らない、ものが二重に見える、手足がしびれるといった症状が見られる場合は、脳の異常が疑われるため脳神経外科や脳神経内科を受診すると良いです。
その他、意欲の低下や気分の落ち込み、吐き気などが現れる場合は精神科や心療内科を受診してください。
どこの診療科を受診すれば良いか分からない場合は、かかりつけの病院や内科へのご相談をお勧めします。