糖尿病とは?
糖尿病は、血液中のブドウ糖が過剰になる疾患であり、インスリンの機能が不十分であることが原因です。症状は目立たないことが多く、命に関わる合併症を発症することもあります。
2007年国民健康栄養調査では、糖尿病の可能性がある方は1,320万人、糖尿病だとほぼ断定できる方は890万人いると報告されており、年々増えてきています。
インスリンの役割
- インスリンは血糖値を下げる効果があるたった1つのホルモンです。
- インスリンは膵臓のランゲルハンス島に含まれるβ細胞で産生、分泌されます。
- ランゲルハンス島のβ細胞が血糖値の上昇を感じ取ると、必要分のインスリンを直ちに分泌します。
糖尿病の種類は大きく4つ
糖尿病は原因によって数種類に分けられますが、大きく「1型糖尿病」「2型糖尿病」「妊娠糖尿病」「その他の特定の機序や疾患による糖尿病」の4つに分類できます。
1型糖尿病
1型糖尿病は、膵臓からのインスリン分泌量が限りなく少なくなることで血糖値が高くなる疾患です。
日常生活を送るためには、インスリンを注射で補充する必要があります。これをインスリン依存状態と呼びます。
2型糖尿病
2型糖尿病はインスリンの分泌量が少なくなる、インスリン抵抗性が出てきて効果が弱まるなどにより高血糖状態になる疾患です。2型糖尿病は、肥満や運動不足、食べ過ぎなどとともに遺伝的な要素によって発症すると考えられています。このような状態に当てはまる方は注意しましょう。
2型糖尿病を患っている方全員が生活習慣の見直しが必要というわけではないですが、血糖値を適切にコントロールするには、運動習慣や食事内容などを改善するのがお勧めです。注射や内服薬も患者様の状態に合わせて処方します。
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病は、妊娠するまでは判明していなかった、糖尿病にまでは進んでいない程度まで血糖値が上がる状態です。
糖は赤ちゃんの養分となるため、過剰に多い・少ない状態となると成長するのに支障をきたす場合があります。お腹の中の赤ちゃんにしっかりと養分を届けつつ、厳密に血糖をコントロールするようにしましょう。
妊娠中はずっと赤ちゃんに養分を届けるため、妊婦さんは空腹時の血糖値が通常よりも低くなりますが、食後の血糖値は胎盤から分泌されるホルモンに影響を受けてインスリンの効果が弱まるため高くなりがちです。
一般的には、出産後に高血糖状態は解消されますが、妊娠糖尿病を患った方は今後糖尿病の発症リスクが高まると考えられています。
その他の糖尿病
糖尿病とは別の疾患やお薬が血糖値を高めて糖尿病を発症する場合もあります。
自覚症状がある時は危険!糖尿病の症状
糖尿病は早い段階では症状が現れないため、早く見つけるためには健診など一定の間隔で検査を受けるようにしましょう。
しかし、次のような症状に気づいた場合は、血糖値が非常に上昇している可能性があるため速やかに病院にご相談ください。
高血糖のとき現れる症状
多尿・口渇・多飲
あまりにものどが渇いて飲水量がかなり増えるとともに多量の尿が出ます。これは、高血糖状態になると尿中に排泄されるブドウ糖が増加して尿量が増えるため、脱水症状になることが原因です。
疲れやすい・だるい
安静にしていても疲労感を感じ、強い倦怠感のせいで動けなくなる場合があります。インスリンの効果がうまく発揮されないためブドウ糖が適切に使用できず、体が使うエネルギーが不十分になることが原因です。
食べても体重が減る
糖尿病の主な症状として、十分な量の食事を摂取しているのにも関わらず、体重が減少することが挙げられます。太ると糖尿病を発症しやすいと考えられがちですが、重度の糖尿病になると体重が減少します。インスリンが不十分なためエネルギーが足りず、脂肪や筋肉が消費されることが原因です。
合併症による症状
視野が欠ける・視力が落ちる・目がかすむ
糖尿病網膜症を発症すると視力に問題が出る場合があります。重度の場合は目が見えなくなる場合もあります。
手足のしびれ、痛み
糖尿病神経障害の症状であり、手足の先端に痛みを感じたり、ジンジン、ピリピリと痺れたりする場合があります。感覚が鈍くなり、痛みが分かりにくくなる、足の裏に余分な皮があるように思う場合もあります。
立ちくらみ
自律神経がダメージを受けて立ちくらみを感じやすくなります。その他、多汗、下痢、便秘などの症状が現れます。
足のむくみ
糖尿病性腎症が進むと腎不全に繋がり、顔や手足がむくむようになります。
傷が治りにくい、感染症にかかりやすい
高血糖状態では体の抵抗力が弱まって感染しやすくなる、傷が治りにくい状態になります。神経にダメージが加わって痛みも感じにくくなると、傷ができても認識できずに病状が進んでしまい、足の水虫が影響して足が腐る場合もあります。
診断基準
糖尿病の診断基準は、ヘモグロビンA1C検査と抗体検査、血糖値の検査によって決められています。ヘモグロビンA1C検査結果が6.5%以上、もしくは血糖値の検査結果が食後2時間で200 mg/dL以上、朝食前の空腹時に126 mg/dL以上で糖尿病と診断します。
予防方法
糖尿病を発症させないように普段の生活習慣を見直しましょう。健康的な生活を送って糖尿病をきちんと予防しましょう。
食事
糖尿病を予防するには、規則正しくバランスがとれた食事を摂取し、適度に摂取しましょう。
- 夜遅い時間や就寝前に食事をしない
- 腹8分目で食事を終える
- 栄養バランスが良い食事をするために主菜、副菜、主食を摂取する
- 朝昼夜、1日3回きちんと食べる
- ゆっくりとよく噛んで食事をする
運動
運動すると血液中のブドウ糖が使われて血糖値が下がるとともに、肥満を改善し筋肉が増えてインスリンの効果が出やすくなります。基本的には、筋肉をつける筋力トレーニングと少ししんどいと思う程度の有酸素運動がお勧めです。
有酸素運動
スイミングやジョギング、ウォーキングなどの全身運動であり、週に少なくとも3回、合計150分以上を目標にしましょう。
筋力トレーニング
背中や腰、足などの大きな筋肉をはじめとして全身の筋肉を週に2〜3回鍛えるのがお勧めです。
運動で注意すべきこと
運動する前はしっかり準備運動を行いましょう。強度が高い筋力トレーニングは腎臓や心臓に負荷がかかって逆に悪影響にもなるため、頑張りすぎるのはお勧めできません。続けられる程度の筋力トレーニングを行うのがお勧めです。糖尿病を患っている場合は事前に主治医にご相談ください。
健診
勤務先や学校で行う特定検診や健康診断で、糖尿病の可能性があるかどうかが分かります。
健診結果のHbA1cもしくは空腹時血糖をご確認ください。